よどがわダイバーシティ映画祭2018

むちうたれる者 ドキュメント輪禍

(1969年/日本/60分)
【2018.12.22(土)~28(金)】
■社会の多様性(ダイバーシティ)について考える映画祭
「よどがわダイバーシティ映画祭2018」
上映作品・スケジュールは→こちら
交通事故によるむちうち患者への取材を通して日本社会を描く
幻想の中のムチウチ者
彼は隔絶された存在そのものである。誰もいない早朝の小都市から彼は生まれる。白紙のプラカード、首にした犬の首輪は、どうしようもない彼の怒りを物語っている。彼は自らを隔絶した社会・街に帰っていく。幻想の中に漂う街・車・人の流れの中で彼は黙々と歩いていく。何処へ!

ムチウチ討論
〈ぼーんとやられて久しう意識ないんですわ〉〈自殺しよ思て枕元の薬飲んだらこれが生命の母でしてん〉一見なんでもないかのような語りかけのかげで、彼の手は無意識にピクピクピクピクとふるえている。訴えようもない陰微な自覚症状と斗う日々のことを、ムチウチ症患者は入れ替わり立ち代わり車の運転台の中からあなた方に語りかけるだろう。その症状は実に多様で、その生活は果てしなく困難である。

ムチウチ医学
ムチウチ症は決して治らない病気ではない。早期の適切な治療と養生さえあればその大部分は全快する。そのためにはどうすればいゝか?医療の実際が紹介される。だが、一部ではあるが難治症の患者もいる。治らない者はどうすればいいのか?なぜ治らないのか?現代の歪んだ医療体制の下で、必死にムチウチ症と取り組む医師自身が告発するムチウチ医学の限界がはじめて明からさまにされる。

ムチウチ現象
だがムチウチにかゝっているのは患者ばかりではない。ムチウチ症の全体的な実体に眼をつぶり、超俗的な医学論議の中でムチウチ損傷を閉じこめ、ムチウチ症という病名はないと断言する医師。それに乗っかって積極的な患者対策・医療指導・追突事故予防策を講じない無責任な人々の群。彼らこそムチウチ症という言葉を恐れ、自らが生み出したこの奇病に鞭打たれているのだ。

社会暴力・職業病としての実体
映画はこの全社会に広がっているムチウチ現象をあまさず写しとり、職業労働者にとっては職業病・全ドライバーにとっては公害、としてのその実体をうきぼりにしていく。今日も欠陥車は街に溢れ、茶の間はカーCMの洪水だ。誰が一体ムチウチ症を生み出し、ムチウチ者を鞭打っているのか!!

幻想の中の反撃
社会から拒絶され、自から社会を拒絶したムチウチ者は、今やその孤立の中から立ち上がればならない。彼は一人であってはならない。ムチウチ者の幻想の中で、彼らは隊列を組み、自らの肉体に烙印された社会暴力を告発するために街々を行進する。その上半身裸体・異様なコルセットや綿カラーの列に人々は好奇の眼を向け、まゆをひそめるだけだ。だが無関心で冷淡な人々よ!あなたも明日はムチウチ者なのだ。告発され鞭打たれるべきは、一億総ムチウチ予備軍の一人であるあなた自身なのかも知れないのだ! ここでいうムチウチ症とは、鞭打ち損傷(WhipRash injury)が機転となり派生する様々の全身症状のことである。

作品のテーマとモティーフ ――監督 康浩郎
ムチウチ者の筋肉は、この社会と文化の相対に対する拒絶としてある。
現代を生きる人間にとって、心身はその予定調和で平和な統一体としてはありえなくなっている。他者や、世界に対する尨大な不満と愁訴の総量は、常に限界ギリギリのところで押し止められている。ムチウチ損傷は、機転として、その張りつめた紙袋の表皮を一点突き破る役目を果したにすぎない。
いうことをきかなくなってしまった肉体。意識とは関係なく自律して動き始めた筋肉。
これこそが拒絶されることによって拒絶するムチウチ者の根底にある問題性だといえよう。
現代の社会と文化の総体が至るところで様々な暴力的侵犯をしかけてくるとき、私達の反撃の地歩は、観念や冗談などではなく、まさしく私達自身の肉体と筋肉のこのどおしようもなさをまずは白日のもとに引きづりだすことから築き始めなければならないのではないだろうか。
己が筋肉に叩きこまれた暴力と日々逃げることなく対決せざるを得ないムチウチ者は、イケニエであるが故に、逆に社会と文化の総体を拒絶する存在として私達の前にある。
私は、この映画は、まずはムチウチ者自身に観てもらいたいと思う。
ということは、未だムチウチ者ならざる多くの人々は、もっとよく観なければならないだろう、ということでもある。

スタッフ
監督:康浩郎
上映時間
12/22(土)~28(金)16:50(~17:55終)
料金
一般:1,300円
シニア:1,100円
学生:1,000円
小学生以下:700円
シアターセブン会員:1,000円

■各種割引サービスについては→こちら

  • トップ
  • コンセプト
  • スケジュール
    • ライブ・イベント情報
    • 映画情報
  • 施設紹介
  • 住所&アクセス
  • お問い合わせ
  • 求人情報

YouTube

第七藝術劇場
同ビル6階 第七藝術劇場

〒532-0024
大阪市淀川区
十三本町1-7-27
サンポードシティ5階

TEL/FAX
06-4862-7733
お電話による
お問い合わせは
基本的に12時~18時の
時間帯でお受けします

MAIL
info@theater-seven.com