特集上映&避難者トーク企画
「3.11を改めて考える~原発問題を中心に~」
第4回:想いを受け継ぐ/劇映画だから描ける真実を観る

開催日

2022年3月4日(金)、3月27日(日)


上映日程

3/4(金)
19:00『逃げ遅れる人々』
登壇者:宇野朗子さん(リモート出演)他
ビデオメッセージ:桑名敦子さん
鈴木絹江さんのインタビュー映像上映あり

3/27(日)
10:30『朝日のあたる家』
登壇者:太田隆文監督(リモート出演)
避難者の一言:安藤栄作さん、森松明希子さん 他

14:00『BOLT』
登壇者:林海象監督
    岩崎孝正さん(リモート)
避難者からの一言:小林雅子さん


イベント概要

福島原発事故から11年・核被害に節目などない!

2011年3月11日に発生した東日本大震災より間もなく11年が経ちます。
ここ関西でも、多くの避難者を受け入れ、被災地支援・避難者支援・脱原発など、様々な活動が展開されてきましたが、いまだ明らかにならない問題も多いまま、原発問題・避難者への対策・被ばく対策など、不十分なまま、風化が進んでいます。

3.11関連の映画・映像作品も数多くとられましたが、十分に観る機会がないままの作品も多い状況です。
そこで、被災者・避難者の声に耳を傾けながら、作品をみて考える特集上映を継続して行っていきます。

各回上映後には、監督や出演者をはじめゲストをお迎えしてのトークも、リモートを活用しながら開催予定です。

<協力:東日本大震災避難者の会 Thanks &Dream (代表:森松明希子)、311特集上映実行委員会>

※第1回:2021年3月13日(土)・14(日)開催
https://www.theater-seven.com/ev/ev_s210313.html

※第2回:2021年12月11日(土)開催
https://www.theater-seven.com/ev/ev_s211211.html

※第3回:2022年1月22日(土)開催
https://www.theater-seven.com/ev/ev_s220122_2.html


上映作品

逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者
(2012/日本/74分/監督:飯田基晴)
障害があるということは、災害時には普段以上のハンディとなる。
2011年3月11日の東日本大震災、未曾有の大災害の中、障害を持つ人々に何が起きたのか? 福島県を中心に、被災した障害者とそこに関わる人々の証言をまとめた。
障害ゆえに、地震や津波から身を守れず、また必要な情報も得られない・・・。「ここではとても生活できない」「周囲に迷惑をかけるから」と、多くの障害者が避難をあきらめざるを得なかった。そうしたなかで避難所に入った障害者を待ち構えていたのは・・・。
更には仮設住宅へ入居しても、そこでも大変な不自由が待っていた。原発事故により市民の姿が消えた避難区域には、取り残された障害者が不安な日々を送っていた。大震災に翻弄される障害者と、その実態調査・支援に奔走する人々の、困難の日々。
住み慣れた土地を追われ、避難先で新たな生活を模索する時、涙とともに故郷への思いがあふれる。
マスメディアでは断片的にしか取り上げられない、被災地の障害者を取り巻くさまざまな課題や問題点が浮かび上がる。

関西への避難者のひとりで、本作にも登場し著書「放射能に追われたカナリア」で知られる故・鈴木絹江さんの思いを受け継ぐようなトークの場にできればと思います。
2011年3月13日に、全国自立センター協議会・DP日本会議・ゆめ風基金といった障害者団体が中心となり立ち上げた、東北関東大震災障害者救援本部製作のドキュメンタリー。

作中にも登場する福島県いわき市と田村市船引の二つの自立生活センターが、災害という最も困難な時に自己決定を大事にし集団避難をしたことや、全国の自立センターの人達が、集団避難の受け入れ、当事者派遣ボランテイア等、様々な支援に取り組まれた姿も描かれています。

地震と津波と原発事故という複合的な大災害を経験した時に、本当に必要な事は何か、深く考えさせてくれる映画です。

関西への避難者のひとりで、本作にも登場し著書「放射能に追われたカナリア」で知られる故・鈴木絹江さんの思いを受け継ぐようなトークの場にできればと思います。
朝日のあたる家
(2013/日本/118分/監督:太田隆文)
静岡県、湖西市。自然に囲まれた美しい町。その町に住む平田一家。
お父さん(並樹史朗)はいちごを栽培。お母さん(斉藤とも子)は主婦。
長女(平沢いずみ)は大学生。妹(橋本わかな)は中学生。日本のどこにでもいる平凡な家族。
ただ、長女のあかねは、この町が好きではなかった。大きなショッピングセンターや映画館やコンサートホールがない。
就職後は都会で一人暮らしを夢見ていた。
そんな時、起こった大きな地震。原子力発電所が爆発。避難勧告。
1日で帰れると思っていたら、何ヶ月も避難所から帰れない。父は職を失い、母はノイローゼ、妹は病気になる。
ようやく許可された一時帰宅も1時間の制限付き。荷物を取ってくることしか許可されない。福島と同じ事態だ。
あかねたちの家族もまた、大きな悲しみの渦に巻き込まれて行く・・・・・・。

原発事故が襲った時何が起きるのかを丁寧に描いた作品。原発事故をよく知らない若い世代にも観て欲しい1本。
出演:並樹史朗、斉藤とも子、平沢いずみ、橋本わかな、藤波心、いしだ壱成、山本太郎
BOLT
(2019/日本/80分/監督:林海象)
ある日、日本のある場所で大地震が発生。
その振動で原子力発電所のボルトがゆるみ、圧力制御タンクの配管から冷却水が漏れ始めた。
高放射能冷却水を止めるため、男は仲間とともにボルトを締めに向かう。
この未曾有の大惨事を引き金に、男の人生は大きく翻弄されていく。

劇映画が描き出す現実に、監督の芸術センスも光る作品。

episode 1.BOLT
大地震の影響で原子力発電所のボルトがゆるんだ。冷却水が漏れ始めた圧力制御タンクの配管のボルトを命をかけて締めに向かう男たちの物語。

episode 2.LIFE
原発事故後、避難指定地区に独り住み続けたひとりの老人が亡くなった。遺品回収に向かった男が直面する現実。

episode 3.GOOD YEAR
クリスマスの夜、車修理工場に暮らす男の前に現れた一人の女。夢か幻か。

出演:永瀬正敏 、佐野史郎、金山一彦、後藤ひろひと、テイ龍進、吉村界人、佐々木詩音、大西信満、堀内正美、佐藤浩市(声)、月船さらら
★3/26(土)、3/28(月)~4/1(金)通常上映あり
詳細は→こちら

登壇者プロフィール

宇野朗子さん

福島市から避難。京都府京田辺市在住。
共著「わたしたちのこえをのこします 福島原発事故後を生きる・もう一つの記録集」(ロシナンテ社2013年)

桑名敦子さん

福島県生まれ
鈴木絹江さんの七年後輩として、郡山養護学校を卒業。
短大で二年英語を学んだ後、1982年「ミスタードーナツ障害者リーダー米国研修」の第一期生の10人のお一人ととして、アメリカへ渡り、障害者自立生活運動を知り、衝撃を受ける。

バークレー自立生活センター所長マイケル・ウインター氏と出会い、結婚。
その後日本に里帰りの度に、自立生活運動のことを、マイケル・ウインター氏とともに伝え続ける。
鈴木絹江さん代表の「福祉のまちづくりの会」にも招かれて講演。

バークレーに佐藤栄佐久元福島県知事が視察におとずれ、その後の福島県での自立生活センターへの助成制度の創設につながる。
福島県庁のアドバイザーとしても二年勤務。

現在ハワイ在住。

太田隆文監督

1961年 和歌山県生まれ。大阪で中高を過ごし、勉強せずに映画ばかり見ていた。
1980年 横浜の映画学校に入学。授業に出ず、8ミリで学生映画を作る。
1985年 南カルフォルニア大学に留学。「スターウォーズ」のジョージ・ルーカス監 督の母校へ。英語の勉強から始め、2年がかりで映画科に合格。
1990年 帰国。アルバイトをしながら脚本執筆。本格的に映画監督を目指す!
1991年〜ライターとして雑誌等に執筆。出版の世界を経験。
1995年 「アルティメット・クライシス」(Vシネマ・水野美紀主演)で脚本家デビュー
1998年 「風の娘たち」(テレビドラマ テレビ東京)で監督デビュー
1999年〜 テレビ、Vシネマの監督業を続けるが、映画の依頼はなく自身で動き始める。
2004年 憧れの大林宣彦監督の映画「理由」にメイキング監督として参加。以後、応援を受ける。「向日葵の丘」は大林映画のオマージュ満載。
2005年 青春ファンタジー「ストロベリーフィールズ」で映画監督デビュー。以後、全ての作品は監督だけでなくプロデュサー、脚本、編集、宣伝を担当
2010年 青春映画「青い青い空」(波岡一喜、長門裕之、松坂慶子)を監督。
2013年 原発事故で何かせねば!と考えるが、当時原発映画はタブー「2度と商業映画は撮れない」と言われ、企業からの出資はゼロ。寄付を集めて「朝日のあたる家」(山 本太郎出演)を監督。当初、上映拒否の連続だったが、心ある映画館23館で公開。
世界6カ国で上映された。
2014年 「向日葵の丘 1983年夏」(常盤貴子、田中美里、藤田朋子、芳根京子)を監督。
2017年 「明日にかける橋 1989年の想い出」(鈴木杏、板尾創路、宝田明)を監督。
2019年 「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」を監督。「朝日のあたる家」で原発事故を描いたことで依頼される。
2020年 「ドキュメンタリー沖縄戦」が全国で再公開。
2022年 新作ドキュメンタリーを編集中。

映画は全て脚本、監督、編集を担当。全て海外の映画祭で招待作品となっている。「朝日のあたる家」以降は全て全国の映画館30館前後で公開されている。

受賞歴
2006年 きのくに芸術新人賞「ストロベリーフィールズ」
2014年 無煙大賞 「朝日のあたる家」
2017年 ジャパン。フィルムフェスティバル特別賞 「明日にかける橋」
2019年 ジャパン・フィルム・フェスティバル最優秀ドキュメンタリー賞

安藤栄作さん

(福島県いわき市から奈良県に避難移住 彫刻家)
1961年、東京下町生まれ。
1986年、東京芸術大学彫刻科を卒業。
1988年頃から原木や廃材を手斧1本で彫り刻み、具象抽象を超えて、ダイナミックな生命エネルギーを形にし続けている。
1990年、福島県いわき市の山中に移住し、大自然の中での彫刻制作に打ち込む。2006年同市の海沿いで暮らし始める。
2011年3月11日東日本大震災にて被災。自宅、アトリエ、数百点の作品、愛犬を津波で失う。放射能から逃れて、高校生の娘さんとともに、新潟をはじめ、避難先を転々とした後、5月末奈良県明日香村に一家で着地。
2012年には天理市へ。避難の道のりは平たんではなかったものの、想像を絶する破壊と感情の揺さぶりの中、分断されていた人々の心が、あの日を境に何かを想い出したように繋がり始めているのを感じる。「私達アーティストには今何ができるのだろう」と問いながら、津波で失われた命への祈りを込めた作品など、みるものの魂を揺さぶる作品を作り続けている。

2017年、第28回平櫛田中賞受賞。
2019年、第10回円空賞大賞にて円空賞受賞。

◇個展・グループ展・パフォーマンスなど多数。
◇彫刻家でお連れ合いの長谷川弘子氏との二人展も好評。
◇2019年には、フランスで個展・グループ展を開く
◇多ジャンルアートの協働で、福島を語り紡ぐ「もやい展」にも参加。
◇エッセイ集『降りてくる空気』絵本『あくしゅだ』等も出版。
◇原発賠償関西訴訟の原告の一人

森松明希子さん

福島県在住中に東日本大震災及び福島原子力惨禍に被災。
0歳と3歳の2児を連れて大阪へ母子避難。
東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)を主宰。
原発賠償関西訴訟原告団代表、原発被ß害者訴訟原告団全国連絡会共同代表、を務める。 国内外で講演を続け、災害による被災者・避難者・原発事故被害者の人権について訴え る。
2018年スイス・ジュネーブの国連人権理事会にてスピーチ。
参議院東日本大震災復興特別委員会に参考人として招聘され、被災当事者として陳述を 行う。
2019年3月フランス・イギリス・ドイツ・ベルギーで訴える。
2019年10月31日「黒田裕子賞」受賞
著書に『母子避難、心の軌跡』(かもがわ出版、2013年)、『災害からの命の守り方ー 私が避難できたわけー』(文芸社、2021年)
共著:「3.11避難者の声 当事者自身がアーカイブ」など。

林海象監督

京都府京都市生まれ。
映画監督、映画プロデューサー、脚本家。
東北芸術工科大学教授。

映画では『夢みるように眠りたい』『私立探偵 濱マイク 3部作』『探偵事務所 5シリーズ」『彌勒』、テレビドラマでは『黒蜥蜴- BLACK LIZARD-』他、作品多数。
2019年、監督作品『BOLT』が「第22回上海国際映画祭」のパノラマ部門(受賞対象外の話題作品)の正式招待作品として上映。
2020年、監督デビュー作である『夢みるように眠りたい』が、「英国映画協会が選ぶ、1925~2019年の優れた日本映画95本」の1本に選出。
また、映像のみならず舞台の世界でも活躍の場を広げており、2019年には舞台『ロストエンジェルス』の演出を、2020年には舞台『かげぜん』の演出を手掛けた。

☆今回の上映に先立ち、林海象監督に一言今の思いをお聞きしたところ、「汚染水は今も流れ続けています。誰かが止めないと、未來はありません。」とのコメントをいただきました。

岩崎孝正さん

1985年福島県生まれ。
東日本大震災をきっかけに本格的に映像制作を始める。
東北芸術工科大学大学院デザイン工学専攻映像領域卒業後、映画・映像制作や「ふるさとに旅する」を企画上映するなどの活動を行なっている。
「ふるさとに旅する」の3作品は、世界8カ国の国際映画祭において、10アワード、17セレクションを獲得した。

小林雅子さん

福島県福島市からの避難者 原発賠償京都訴訟原告
2011年8月に福島県福島市から京都市へ母子避難。
2019年2月区域外避難者が唯一受けることが出来た住宅支援が打ち切りになり、宇治市へ転居。
関西に来て吉本新喜劇を観て衝撃を受ける。
趣味、舞台、映画鑑賞。事故前は原発のこと政治のことは全くの無関心だった。事故後は他人任せではいけないと思うようになる。


料金

一般:1,500円
シニア:1,200円
学生以下・会員:1,000円
2/11(金祝)9:00から販売開始

●インターネット販売(クレジットカード決済のみ)
2/11(金祝) 朝9時~下記URLにて販売開始。
但し、お座席がなくなり次第販売終了。
当日券は、残席があった場合のみ、当日開館時間より窓口にて販売。

【チケット購入ページ】

3/4(金)
19:00『逃げ遅れる人々』
https://nanageitheater7.sboticket.net/reserve?schedule=5374

3/27(日)
10:30『朝日のあたる家』
https://nanageitheater7.sboticket.net/reserve?schedule=5375

14:00『BOLT』
https://nanageitheater7.sboticket.net/reserve?schedule=5376

●劇場窓口販売(現金・paypay決済)
2/11(金祝) 当館開館時間より販売開始。最終作品上映開始30分後まで販売。
但し、お座席がなくなり次第販売終了。
当日券は、残席があった場合のみ、当日開館時間より窓口にて販売。


これまでの上映作品

『「知事抹殺」の真実』『東電テレビ会議 49時間の記録』『ソドムの嘘 ゴモラの呪縛』『終の住処を奪われて』
『真実はどこに?』『パレスチナからフクシマへ』


会場

シアターセブン
〒532-0024 大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ5階
TEL:06-4862-7733
MAIL:info@theater-seven.com
WEB:http://www.theater-seven.com/