特集上映&避難者トーク企画
「3.11を改めて考える~原発問題を中心に~」


開催日

2021年3月13日(土)・14(日)


イベント内容

2011年3月11日に発生した東日本大震災より10年が経ちます。
ここ関西でも、多くの避難者を受け入れ、被災地支援・避難者支援・脱原発など、様々な活動が展開されてきましたが、いまだ明らかにならない問題も多いまま、原発問題・避難者への対策・被ばく対策など、不十分なまま、風化が進んでいます。

3.11関連の映画・映像作品も数多くとられましたが、十分に観る機会がないままの作品も多い状況です。
10年という節目に原点に立ち返り、被災者・避難者の声に耳を傾けながら、作品をみて考える特集上映を一年かけて行っていきます。

各回上映後には、監督や出演者をはじめゲストをお迎えしてのトークも、リモートを活用しながら開催予定です。

<協力:東日本大震災避難者の会 Thanks &Dream (代表:森松明希子)、関西平和映画祭実行委員会>


上映作品

福島原発の歴史を学ぶ
『「知事抹殺」の真実』

事故発生当時を振り返る
『東電テレビ会議 49時間の記録』

声をあげる人達の声を聴く
『ソドムの嘘 ゴモラの呪縛』(2012年の様々な活動)
『終の住処を奪われて』(2013年に提訴された国と東電の責任を問う裁判を描く)


上映スケジュール
3/13
(土)
11:00 『終の住処を奪われて~福島原発被害東京訴訟~』

上映後リモートトーク
ゲスト:遠藤大輔監督、鴨下祐也さん(福島原発被害東京訴訟・原告団長、工学博士)
槙奈緒美さん(原発賠償ひょうご訴訟原告、福島県富岡町から避難)、小林雅子さん(原発賠償京都訴訟原告、福島県福島市から避難)
13:40 『東電テレビ会議 49時間の記録』

上映後リモートトーク
ゲスト:添田孝史さん(科学ジャーナリスト)
3/14
(日)
10:30 『ソドムの嘘 ゴモラの呪縛』

上映後トーク
故・松井英介先生の奥様・松井和子様からのメッセージ(代読)
「2021年から2012年を振り返って それぞれの思い」懇談会

※諸事情により上記に変更となりました。
13:30 『「知事抹殺」の真実』

上映後リモートトーク
ゲスト:安孫子亘監督
司会:森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団長)
16:00 『終の住処を奪われて~福島原発被害東京訴訟~』

上映後リモートトーク
テーマ「世界とつながり、未来を拓くには」
ゲスト:上前昌子さん(台湾への避難者)、鴨下全生さん(本作出演の鴨下家長男)とご家族
司会:森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団長)

料金

一律:1,500円
特集内・2作目以降割引:1,300円
会員:1,200円

※『東電テレビ会議』のみ
一律:1,800円
特集内・2作目以降割引:1,600円
会員:1,500円

※チケットは両日程とも、3/6(土)より販売開始。



作品情報

『終の住処を奪われて~福島原発被害東京訴訟~』
(2016/日本/37分)
(制作プロジェクトクラウドファンディングページより掲載)
原発事故から5年、次第に風化しつつ現実。しかし、多くの人が避難し、また、地元で不安な生活を送る現実。私たちは,終わらない原発事故,その被害,避難生活の苦悩などを伝えるドキュメンタリーを作成することにしました。

福島原発事故により、生まれ育ったふるさとに大量の放射性物質がばらまかれたため、現在でも、多くの人が全国各地で避難生活をし、また、地元で不安な気持ちを抱えて生活しています。

私たちは、「すべての被害者の救済と生活再建を!」「線引きは許さない!」をスローガンに避難区域の内外を問わず、原発事故被害者に対する謝罪と被害回復(生活再建に適った完全賠償、原状回復)を求め、国と東京電力の責任を問う裁判をしています。

原発事故から5年、いまだに生活再建への道が見えません。それどころか、政府は、除染も進まず、依然として放射性物質の汚染が続いているのに、あたかも原発事故は終息したかのように帰還政策を推し進めています。他方、人々の間で原発事故が風化しつつあるのも現実です。そこで、私たちは、終わらない原発事故、その被害、避難生活の苦悩などを皆さんにお伝えしたいと思い、ドキュメンタリーを作成するプロジェクトを立ち上げました。

今回集めたお金で、原発事故の被害とその責任、避難生活に至る経緯、現在などを撮ったドキュメンタリーをつくり、広く世の中に伝えていきたいと思います。そのなかでは、被害者であり、科学者でもある原告・鴨下祐也をメインに、避難者としての避難生活の困難・苦悩だけでなく、科学者としての立場から、放射能汚染の現実をビジュアル的で示し、「安全・安心」と喧伝されている現状に一石を投じ、原発事故は終息していないことを訴えていきます。
『東電テレビ会議 49時間の記録』
(2013年/日本/206分)
1号機が爆発。次第に3号機の原子炉水位も低下。
バッテリー、ガソリン、水、食糧ー。不足する物資の調達に行き詰まる現場。
対応は下請け頼み。打つ手打つ手はことごとく失敗。
そしてついに、作業員撤退の検討がはじまるー。
暴走する原発を食い止める術を失う東電の姿が、そこにあった。
「本店!本店!大変です!3号機が爆発しました!」

故吉田昌郎元所長の緊迫した声を覚えている人は多いだろう。福島第一原発事故の対応をつぶさに記録した第一級の映像資料「東電テレビ会議映像」が遂に長編映像としてまとめられた。

本作品は、非営利メディアOurPlanet-TV が「福島映像祭2013」で上映するために、独自編集した報道ドキュメントである。映像は、福島オフサイトセンター、東電本店、 福島第1 原発、福島第2 原発、柏崎刈羽原発を結ぶテレビ会議の分割画面のみ。しかし緊迫した現場の声には、どんな映像よりも臨場感と迫力がある。

使用した映像は、既にインターネット上には公開されているものだ。しかし、その映像は細切れな上、誰が発言しているかが分からないという問題があった。作品では、なるべく状況がわかるように、基本的な情報を挿入した。2011年3月12日から15日までの3日間、福島第一原発で何が起きていたのか。あの時間、あの原点に立ち戻る体験を共有したい。
『ソドムの嘘 ゴモラの呪縛』(2013/日本/93分)
「ソドムとゴモラ」の逸話は、旧約聖書の中で「ノアの箱舟」と並んで、神が人を滅ぼす話として知られています。享楽の都と化したソドムとゴモラを神は善き人が10人いれば滅ぼさないと約束したが、結局硫黄の火によって焼かれた。その描写を核爆発のようだと言う研究者もいる。
原子の火をもてあそぶ我々人類を神は滅ぼさないか?原発事故を体験した我々はこのままでよいのか、と考え行動する人々がいます。地道に活動する市井の人々を追った。

福島原発事故では原爆のように一気に高線量の放射能が放出されたわけではないから、大丈夫だという人がいる。100ミリシーベルト以下では健康被害はないと。
本当にそうだろうか?取材陣は福島で聞き込み調査をした。
内部被曝・低線量被曝の実態を専門家である松井英介監督にインタビュー。
もちろん。脱原発界のアイドル(?)小出裕章先生からもお話を伺っている。
低線量の嘘と安全神話の呪縛から解き放たれるのであろうか?
『「知事抹殺」の真実』(2016/日本/80分)
2006年9月、5期18年に渡り、県民とともにに福島県を築いてきた佐藤栄佐久知事は、何者かが作り上げた「謎の収賄事件」により突然辞任を強いられる。

裁判の過程で明らかになっていく事実、調書の矛盾。 裁判所は、知事に利益を得る認識が無く収賄額は0円、という前代未聞の有罪判決を出す。検察の主張の前提は全て崩れ、一体何の罪で有罪になったのか。報道は操作され、ゆがんだ情報に国民が惑わされていた。

どうしても、佐藤栄佐久を政界から抹殺したかったわけとは。なぜ、原発に近づくものが消えていくのか。

佐藤栄佐久は、中央政界での経験をもとに、独自の政治スタイルを確立。国に頼らない、地方色を生かした国づくりを進めてきた。そして原発立地県として、その安全神話が空っぽであると気づいた時から、巨大な力との果てしない戦いは避けられなかった。
市町村合併、道州制そして原発問題、押し寄せる国策に問題提起することの代償。闘う知事と呼ばれた佐藤栄佐久は、自身の身を持って証明することとなる。

突然の辞任から逮捕、関係者への事情聴取、裁判に至るまでの検察側によるマスコミ報道の信用性。報道されなかった真実が、佐藤栄佐久の証言でいま明らかにされる

登壇者プロフィール

鴨下祐也さん

2011年当時 福島高専に勤務。工学博士 福島県いわき市から東京に避難後、2013年3月から 福島原発被害東京訴訟・原告団長

槙奈緒美さん

福島県富岡町からの避難者 原発賠償ひょうご訴訟原告
中学から高校まで富岡町で暮らし、その後は町を出たが、30代半ばから富岡町で闘病生活を送っていた。
社会復帰を目指していた最中に311が起きた。
2011年9月に関西に避難。「かえるカフェ」という避難者が集える場づくりもする。
現在、原発賠償ひょうご訴訟原告。
被爆の危険を訴えるGo West, Come Westのメンバーでもある。
原告になって、なかなか理解されづらい苦労も感じながら、「被爆が誰にでも関係して
いる問題で、私達の現在の選択が、核廃絶の未来を作っていく」という希望を分かち合えることを感じて、頑張っている。

小林雅子さん

福島県福島市からの避難者 原発賠償京都訴訟原告
2011年8月に福島県福島市から京都市へ母子避難。
2019年2月区域外避難者が唯一受けることが出来た住宅支援が打ち切りになり、宇治市へ転居。
関西に来て吉本新喜劇を観て衝撃を受ける。
趣味、舞台、映画鑑賞。事故前は原発のこと政治のことは全くの無関心だった。事故後は他人任せではいけないと思うようになる。

添田孝史さん

科学ジャーナリスト。
1990年朝日新聞社入社。大阪本社科学部などで科学・医療分野を担当。
1995年から原発と地震についての取材をしている。2011年5月に退社しフリーに。
著書に『東電原発事故10年で明らかになったこと』(平凡社新書)『原発と大津波警告を葬った人々』(岩波新書)などがある。

森松明希子さん

福島県在住中に東日本大震災及び福島原子力惨禍に被災。
0歳と3歳の2児を連れて大阪へ母子避難。
東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)を主宰。
原発賠償関西訴訟原告団代表、原発被害者訴訟原告団全国連絡会共同代表、を務める。 国内外で講演を続け、災害による被災者・避難者・原発事故被害者の人権について訴え る。
2018年スイス・ジュネーブの国連人権理事会にてスピーチ。
参議院東日本大震災復興特別委員会に参考人として招聘され、被災当事者として陳述を 行う。
2019年3月フランス・イギリス・ドイツ・ベルギーで訴える。
2019年10月31日「黒田裕子賞」受賞
著書に『母子避難、心の軌跡』(かもがわ出版、2013年)、『災害からの命の守り方ー 私が避難できたわけー』(文芸社、2021年)
共著:「3.11避難者の声 当事者自身がアーカイブ」など。

上前昌子さん

福島から台湾に五年半二人のお子さんとともに避難
台湾の幼稚園などで働きながら、台湾27か所で授業・講演したり、台湾・韓国・沖縄の 若者たちと平和キャンプの活動にもかかわる。

鴨下全生さん

18歳。2011年3月、8歳の時に福島県いわき市から東京へ避難。 自宅は原発から約40km。避難指示区域外からの避難者として、様々な偏見や差別 、いじめを経験しながら東京で育つ。 2013年末に、秘密保護法が成立する時の国会周辺の様子を見て、このままでは自分の被 害や理不尽が闇に葬られてしまうと危機感を持ち、徐々に集会などでの発信を始める。 一方で、いじめなど、原発事故の二次的な被害に起因するPTSDや鬱に苦しみ、度々体調 を崩す。2018年秋、悪くなるばかりの国政に絶望し、分断や差別の中で、声を上げる力 も奪われている原発事故被害者の状況に堪えられなくなり、ローマ教皇へ手紙を送る。 翌3月、バチカンで教皇との謁見を果たし、同年11月、来日した教皇に再会。改めて原 発被害者の実情を伝えた。福島原発被害東京訴訟原告。

安孫子亘監督
(『「知事抹殺」の真実』)

北海道小樽市出身
1982よりTV製作に関わり日本テレビ「太古の森の物語」 :ギャラクシー賞選奨、TBS「ダーウィンに消された男」: 日本民間放送連盟賞、テレビ東京「蜃気楼の王国」:日本民間放送連盟優秀賞 ・・・など受賞多数。
1995から2年にわたりアフリカ ケニアに移住。野生動物の映像制作に取り組む。帰国後 は短編記録映像製作を経て、2011年より檜枝岐歌舞伎の背景を写し取った「やるべぇや 」、会津の語り部を記録する「生きてこそ」、自然と生きるマタギの姿を描く「春よこ い」と精力的に長編ドキュメンタリー映画を撮り続けている。

遠藤大輔監督
(『終の住処を奪われて~福島原発被害東京訴訟~』)

ビデオジャーナリスト/メディア研究者
1995年にビデオジャーナリストの手法を確立し、野宿者向けコミュニティ放送「新宿 路上TV」で注目を浴びる。その後、民放の報道特集企画制作を経て、現在は市民活動と の連携による劇場映画の製作、ネット配信、技術協力などを行う。後発の育成にも従事 。
2012年「渋谷ブランニューデイズ」2017年「終の住処を奪われて-福島原発被害東京訴 訟-」2018年「恐怖のカウントダウン~東海第二原発を止めたい」他監督
著書に『ドキュメンタリーの語り方』(2013,勁草書房刊)
現・メディア活動支援機構(MSO)プロデューサー